イベントレポート

中村遺跡 現地説明会レポート

 平成27620日(土)午後1:00から、北上市にある中村遺跡(なかむらいせき)で現地説明会を開催しました。当日は、各地で天候の急変が心配されましたが、幸いにも現地説明会の最中は雨も降らず、約90名の方にご参加頂きました! たくさんのご参加ありがとうございました!

 中村遺跡は、北上川中流部の堤防建設に伴う発掘調査を行っている遺跡です。
 北上川に沿った河岸段丘にある奈良・平安時代の大規模な集落跡で、すぐお隣の千苅遺跡(せんがりいせき)から北側に続いています。竪穴住居跡など多数の遺構をはじめ、北上川の交通や漁業、川沿いの肥沃な土地での農業など、当時の生業がうかがえる遺物が次々と発見されました。

 八幡平市から参加された男性は、「今後、安倍氏や国見山廃寺跡などとの関連がわかればおもしろい」と話していました。

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伏せた状態で見つかった土器の裏には、作る時に下にしいた木の葉が残っています。植物の種類が特定できれば、土器を作った時期がわかるかもしれません。

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地面にトンネルをつくってカマドの煙を竪穴住居の外に逃がす煙道です。カマド跡には焼けた土が赤く残っていました。このように側面に石が並べられた煙道は北上では珍しく、二戸など県北によく見られるそうで、地域間の往来が推察できます。

 

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このような竪穴住居跡が200棟以上も見つかっており、当時は約200年の間に1000棟を超える住居ができたと考えられています。とても暮らしやすい場所だったのでしょうね。

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馬の歯も発見されました。食糧にしたのか、それとも呪術など特別な使い方をしたのかもしれません……。これからの解明が楽しみです。

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住居跡周囲では、用途不明な溝が発見されています。一定間隔で掘られた溝もあるため、水を通したのではなく、集落間の区画を表すために作られたのではないかと考えられています。

赤い彩色が残っている赤彩土器の説明を、皆さん熱心に聞いていました。ここに並べられている遺物の他にも、土師器や須恵器、鉄器、漁具の土製品など、多様な遺物が発見されました。

赤い彩色が残っている赤彩土器の説明を、皆さん熱心に聞いていました。ここに並べられている遺物の他にも、土師器や須恵器、鉄器、漁具の土製品など、多様な遺物が発見されました。

 

○中村遺跡の現地説明会資料はこちらからダウンロードできます。

2015年6月25日掲載

※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。

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