イベントレポート

長谷堂貝塚 現地説明会レポート

 平成28年8月27日(土)13:00から、大船渡市猪川町にある長谷堂貝塚で現地説明会が開かれました。
 長谷堂貝塚の調査は、市道猿石線道路改良事業に伴う緊急発掘調査です。遺跡の東側を細長く縦断する950㎡の範囲を対象として、6月9日から実施されています。
 当日心配されていたお天気はどうにか持ちこたえ、113名もの方にご来跡頂きました。本当にありがとうございました。

 これまでの調査で、縄文時代中期後半を中心とした遺物包含層、貝層、配石遺構、竪穴住居跡、炉跡、土坑などが見つかり、遺物は縄文時代中期中葉~後期初頭(約4,500~4,000年前頃)の土器、石器類(石鏃・石槍・石錐・石匙・石斧・磨石・凹石・石皿・石棒)、土製品類(土偶・耳飾り・円盤状土製品・鐸形土製品・三角壔形土製品、斧形土製品)、貝・骨類など、豊富な遺物が出土しました。
 調査は引き続き11月末まで行われ、遺構・遺物ともさらに大幅に増えていく見込みです。

 

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 開会セレモニーの後、調査区の南側へ移動し、現場での説明がスタートします。今回の調査区はとても細長く、見学できる通路も狭いため、御覧のような長蛇の列となってしまいました。お客さんを誘導するのも大変です。
 ちなみに、左下の写真右奥に見える壁が肌色の建物は県営アパートで、その建設予定地において過去に大規模な発掘調査が行われています。このアパート周辺が長谷堂貝塚の中心部にあたります。

 

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 調査区南側で見つかった竪穴住居跡(右の写真は同じ場所を写したもの)です。見つかったのは住居跡の一部分ですが、手前側に石で囲んだ炉跡があり、柱穴も複数確認されています。全体の大きさは8m程度で、形状は楕円形に近いと考えられます。今回見つかった遺構の中では古い方(縄文時代中期中葉)に属します。

 

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 石囲炉(右写真)について説明をしているところです。石で囲んだ内側は赤く焼け、内部に土器が埋められています。土器が埋められている炉は、土器が無い炉もよりも若干新しい時期に属するそうです。土器を埋めた理由については諸説ありますが、食料とする植物をアク抜きするための灰を集めるのが目的ではないかと調査員は推測しています。竪穴住居跡に伴う炉と考えられますが、遺物包含層の中に構築されていたため土の識別が難しく、住居の壁を確認することができませんでした。

 

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 調査区中央で見つかった配石遺構(大小の石を人為的に並べたもの)です。 お墓だとすると、石の下には墓穴が見つかるかもしれません。下がどうなっているのかは、今後、石を外して慎重に調べていきます。作られた時期は上の竪穴住居跡よりも後の縄文後期初頭頃と考えられます。石が並ぶ様子を見られるのは今回が最後のチャンスということで、熱心に写真を撮っていく人ファンも多く見受けられました。

 

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 白く広がっているのは貝殻のまとまり(貝層)です。今回の調査では、調査区のほぼ全体が遺物を大量に含む土(遺物包含層)で覆われており、そのあちこちで貝層が見つかっていますが、これは縄文人の捨てた食べカスと考えられます。貝殻はアサリが最も多く、次いでカキ等があり、貝殻に混じってイノシシやシカなどの動物や鳥の骨、魚骨も含まれるようで、今後の分析でもっと詳しく調べていく予定です。貝層を中心とした遺跡を貝塚と呼んでいますが、大船渡市には有名な貝塚が数多くあります。

 

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 調査区北側で見つかった竪穴住居跡です。この住居を埋めていた土の中にも貝層があり、右の写真のように、ニホンジカ(※写真中の表示は「イノシシ」となっていますが、訂正です)の下あごの骨まで出土しました。日本の遺跡では酸性土壌のために一般に骨は分解され残りにくいのですが、貝塚では貝殻の成分によって土壌が中和されるため、骨も残りやすいそうです。

 

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 出土遺物です。遺物包含層から出てきた土器は現在のところコンテナ60箱、石器類は30箱程度、まだまだ今後も遺物は増えていきます。貝・骨類も相当な量になりそうです。
 左下写真は土製品類で、土偶や耳飾りの他、三角壔形・鐸形・斧形といった珍しい土製品も出土しています。信仰や祭りが盛んにおこなわれていた証拠でしょう。
 右下写真はアサリが入っていた小型の壺型土器(以前に発掘最新情報でお伝えしたもの)と中に入っていたアサリです。土器の中にアサリを入れて保管しようとしたのでしょうか?縄文生活の一コマが思い浮かぶような面白い事例です。

 

当日資料は、こちらから

2016年8月31日掲載

※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。

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