イベントレポート

中平遺跡 現地説明会レポート

11月3日(水・文化の日)に、7月から発掘調査を進めてきた中平遺跡(野田村)の現地説明会を開催しました。今回はその様子をレポートします。

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中平遺跡は奈良~平安時代の集落跡が広い範囲に残っていることで知られた遺跡で、その中心部は「野田中平竪穴住居跡群(のだなかたいたてあなじゅうきょあとぐん)」として1954(昭和29)年に岩手県史跡に指定されています。

今回の発掘調査は野田小学校の移転新築に伴うもので、今年度は約3,600㎡を対象に実施してきました。見つかった遺構の主なものには縄文時代前期の竪穴住居26棟、縄文時代前期~中期の落とし穴36基、平安時代の竪穴住居11棟などがあります。

調査も終わりに近づき、成果をご紹介するにはちょうど良いタイミングとなりましたので、待望の説明会開催です。

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受付では検温、手指消毒、連絡先の記入をお願いし、感染対策もばっちりです。

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予定通りの11時開会です。最初にセンターの齊藤所長から開会のあいさつと、中平遺跡のこれまでの調査史について説明がありました。

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続いて調査主担当の村木主任文化財専門員の案内で、皆さん調査区の中に降り立ちます。今回の調査で一番目を引くものは、縄文時代前期初め頃(約6千年前)に作られた大きな竪穴群。全長5mほどもある長方形の遺構がたくさん見つかっています。

なんとその数26棟も!

村木調査員の説明では、床面に炉がないこと、土器もほとんど出土していないことから、一時的なキャンプの跡かもしれないそうです。

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こちらは少し時代が下って縄文時代中期頃(4千年あまり前)と思われる落とし穴のようす。赤白のポールは2mですが、あまりに深いので一番底は掘りきっていないとのこと。

「これに落ちたら野生動物でもそう簡単には出てこられないよなあ」
とご覧になった皆さんびっくりしていました。

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こちらは平安時代の竪穴住居です。4m四方ほどの四角い穴で、東側の壁ぎわにカマドが作られていました。埋め土の下部には火山灰が見つかったとのことです。この火山灰は、秋田・青森県境の十和田湖が西暦915年に噴火した時の十和田a火山灰とみられることから、竪穴住居は915年以前のものだとわかりました。

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カマドの構造を説明している様子です。骨組みが石で作られており、煙を屋外に出すトンネル形の煙道(えんどう)が見つかっています。

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調査区の中に立てられたテントでは、縄文時代の土器・石器、平安時代の土師器(はじき)など主な出土品が並べられ、それぞれの特徴について調査員の説明がありました。

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今回の調査では、見つかった遺構の数に比べて出土品の数や種類が少ないのも特徴ですが、その中には石の「やじり」を作る材料の剥片(はくへん)を集めた「剥片(はくへん)集積(しゅうせき)遺構(いこう)」があります。剥片の数は約180点にもなるそうです。

この日は曇天で気温14℃前後、時折小雨がぱらつく肌寒い天気となりましたが、来場いただいたお客様は遺跡の性格について調査員に質問したり、熱気あふれる説明会となりました。

 

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今年の中平遺跡調査は11月下旬で終了する見込みです。大勢の皆さんにご参加いたき、ありがとうございました!

当日の資料はこちらから。

2021年11月5日掲載

※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。

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