現地説明会

岡田遺跡現地説明会を開催しました!

10月22日(土)午前11時から 北上市岡田遺跡の現地説明会を開催しました。

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開会の30分以上前から参加の皆さんが続々と集まってきます。広い駐車場がいっぱいになるほどお越しいただき、およそ140名の方々にご参加いただきました。

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調査員の紹介の後、調査の説明を行いました。岡田遺跡では、縄文時代の狩場と平安時代の集落が見つかっています。

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まず、縄文時代の狩場についてです。皆さんの足元に、細長く黒っぽい土が確認できますね。実はこれが落とし穴なんです。お子さんたちも興味津々です。

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ゆるやかな丘にこのような落とし穴が一面に広がっています。その数は300基に迫ります。

いくつかの落とし穴が並んで見つかったところもあります。
岡田遺跡では、丘の頂上では等高線に直行して、斜面は等高線に並行して作られる傾向があります。

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落とし穴にもいろいろ種類があって、溝のように細長い穴だけのもの、穴の底にさらに杭を打ったような穴が開いているものがあります。こちらは、細長い穴だけのもの(手前)と、底に穴が見つかるもの(奥)が一部重なって見つかりました。

近づいてみましょう。

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底に穴がある落とし穴は、細長い落とし穴よりも古いのではないか、と言われているそうです。

ですから、ここはまず底に穴がある落とし穴(右)が作られ、そののちに左の細長い落とし穴が作られた、と考えられます。

 

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こちらは、長さ5m、深さ1.5mの遺跡最大の落とし穴です。上から見ると両端の幅が広く、真ん中が狭い鉄アレイのような形をしています。

このような穴に落ちたら、動物もたしかに抜け出せないですね。

落とし穴の形の違いは、作られた時期や獲物の違いを表しているのかもしれません。
参加の皆さんには落ちないように注意して歩いていただき、事故がなくてよかったです。

 

次に平安時代の住居を西側から見ています。平安時代の集落は南側の斜面に営まれています。

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四角い形をしていて、東壁の一部にカマドが設けられています。カマドは石を芯材にして、粘土を貼って作られていたようです。
煙突の役目をする煙道、煙を出す穴も残っています。

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カマドの部分は土が焼けて赤くなっていました。
さっそく、お母さんと一緒に触ってみたお子さんがいました。カチカチに硬くなっていることがわかりました。
だいぶ使い込まれていますね。

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こちらは、詳しい時期はわかりませんが、おそらく江戸時代ぐらいと考えている掘立柱建物です。
柱穴が並んでいて、その周りに溝が確認できます。南向きの斜面にあります。

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建物の南側からは井戸が見つかりました。「わあ、井戸だ。水もきれいだな。飲めるのかな?」
といった声が聞こえます。

最後にもう一度遺跡全体を眺めてみましょう。

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南東から見た岡田遺跡

南東から見た岡田遺跡

東西に延びるゆるやかな丘にあるこの遺跡は、南側と北側に湿地があり、現在は水田が営まれています。

丘の上の遺跡は縄文時代には、長い間狩りの場所でした。

湿地に水を飲みに来る動物を目当てに、たくさんの落とし穴が作られました。一か所にたくさん並べて作られている場所もあり、狩りの際にそのルート上に動物を追い込んで、捕らえる場面が想像できます。

平安時代には、日当たりのよい南斜面を利用して集落が営まれました。南側には沢が流れ、生活に便利だったと思われますし、当時も田んぼがあったかもしれません。

岡田遺跡の南側にも、水田を挟んでゆるやかな東西に延びる丘があり、現在ニュータウンになっていますが、さしずめ岡田遺跡は平安時代のオールドタウンといえるかもしれません。

今回の現地説明会では遺跡の近くにお住いの皆さんに多くお越しいただき、調査で分かった地元の歴史を感じていただきました。

発掘調査では見つかった土器や石器などは残りますが、住居跡や落とし穴などは調査が終わったらなくなってしまいます。

現地説明会はそれらを実際に見て、触れることのできる最初で最後の機会です。近くで開催される際には、ぜひお越しいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年10月24日掲載

※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。

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