イベントレポート

八幡沖遺跡 現地公開レポート

 平成28724日(日)午後1時30分から、一関市室根の八幡沖(はちまんおき)遺跡で現地公開が行われました。天気予報よりも暑くなった一日。現場の熱気が体感温度をあげたのでしょうか。県内外から参加された90名の皆様、ありがとうございました。

 八幡沖遺跡は、室根バイパス整備事業に伴い行われている発掘調査で、平成26年度から3年にわたり調査が行われました。調査によって、大きな堀跡や縄文時代のおとし穴が見つかり、中世は城館として、縄文時代は狩猟場として利用されていた場所だったことがわかりました。

 宮城県から見学にいらした方は、「調査している現場を直接見られてとても良かった。」と話して下さいました。また、市内から見学にいらした方は、「堀跡が、とても大きくてすごい!」と驚いていました。

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尾根上(郭?)部分で解説がはじまります。残念ながら、今回の調査で建物の痕跡は見つかりませんでした。そのため、このお城の建物は、今回の調査区の外にあったのではないかと調査員は推察しました。

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この部分からは、北に室根山を望むことができます。室根山との間には、大川や気仙沼街道(国道284号線)があります。遺跡の背後にも山が連なり、お城を構えるには、場所選びがとても大事だと改めて勉強になります。 ちなみに、この日は、室根山からパラグライダーが何機も飛び立っていました。空から見たら、より一層、八幡沖遺跡の立地状況がわかりそうですね。

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尾根上の部分から堀まで、絶壁のような斜面(切岸)が見てとれます。大きな堀はもちろんですが、この切岸も、当時の人々が山を切り崩し作ったものです。尾根上から堀の底まで、およそ深さ13メートル、ここから駆け上がるのは至難の業ですね。白っぽく見える地肌は、真砂(まさ)土と言われる土で非常に滑りやすいですし、何よりも、尾根上から丸見えですから敵もヒヤヒヤでしょう。

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尾根上から城館の痕跡は見つかりませんでしたが、縄文時代のおとし穴が複数みつかりました。形は、溝状のものや楕円のものと様々で、縄文の人々が工夫して作った様子がうかがえます。おとし穴は、規則的に配置されています。動物の行動を予想し掘られていたんですね。 八幡沖遺跡では、縄文の人々も、中世の人々も、自然の地形をうまく利用し生きていた証をみることができました。

当日資料は、こちらから。

2016年8月1日掲載

※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。

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